この結婚には愛しかない
「いずれ家を建てたいけど、結婚したばかりでマンション探してるからいい物件を紹介して欲しいって頼んだら、個人所有のマンションが何部屋かあるから家建てるまで貸してあげるって申し出てくれた。もちろん家賃は支払うけどね」
「え!すごいです」
「俺のこと気に入ったから特別だって。物件の情報を送るからって個人の番号交換したら、すぐ3軒分送ってきてくれた。どこも即入居可能だって」
伊織さんが見せてくれたスマホのメッセージ画面に、URLが並んでいる。
その中の一つを選び、タブレットの画面に現れたマンションを見ながら、伊織さんが声を弾ませる。
「ただ、交換条件を提示された」
「交換条件ですか?」
「家建てる時は土地探しはうちで。結婚式は最短の吉日抑えてあげるからうちで挙げてって。ありがたい申し出だけど、妻に相談しなきゃ決められないからまた連絡するって言って別れたよ」
「そうなんですね。でも、伊織さんが決めてくださって良かったのに」
「ダメだよ。2人のことなんだから。特に結婚式の主役は花嫁の莉央だからね。莉央の希望を優先したい」
「ありがとうございます」
当然だよ。となんでもない事のように流し、次の物件を見る伊織さん。伊織さんといると幸せがどんどん積み重なっていく。