この結婚には愛しかない
その会社は、うちと同じホールディングスの子会社で社内呼称がSU社。うちの会社では、情報漏洩防止のため、取引先名を英語2文字、もしくは3文字で表すことになっている。

子会社は英語でsubsidiaryなので、社名の頭文字と合わせてSU社と呼ばれている。ホールディングスの他の子会社も、頭文字はS始まりだ。


専務室には、すでに半導体事業部長と営業部長がいらっしゃった。壁がけの大型モニターには、SU社のホームページが映し出されている。

伊織さんはデスクに座られていて、ソファーに座られている事業部長と部長の前に私たち3人が並んで座った。

ノートパソコンをWiFiに繋いでいると、厳しさを含んだ伊織さんの言葉が飛んだ。


「この会社と15年以上の取引なんですよね?現社長名と過去5年の業績推移くらいは、常に最低限把握しておいてください」

「申し訳ございません」

「長谷川くん、SU社の製品ごとに損益分岐点をすぐ計算して。あー、受注数量を加味した分岐も。どこまで数量取れたら単価をいくらまで下げれるか。莉央はそこに映してるホームページ上で分かる範囲でいいから売上推移とうちの受注推移をグラフにして。営業部長はすぐ担当者に訪問日のアポ取り。先方の都合で構いません。現地には私も行きます」

「「「承知しました」」」

部長の謝罪を遮るように、伊織さんからの指示だ。
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