この結婚には愛しかない



25日の定時過ぎに、大森室長宛に伊織さんから電話がかかってきた。

私と長谷川くんはそれを察し、目を合わせ頷き合う。


はい、はい、とお返事をされる大森室長が、私たちを見て笑顔でOKサインをしてくださった。

「(よかった!)」


詳細が知りたくて電話が終わるのを待っていたら、佐和がジェスチャー付きの口パクで「おつかれ」と合図をして部屋から出ていった。

今日は湊さんとクリスマスデートだって楽しみにしてた。


SU社からの受注ゼロの申し出になった最大の原因は、うちの単価が高かったから。

ホールディングス買収の煽りを受けているのはうちと同じで、少しでも安い海外に受注を変更して、コストを下げようとしたようだ。

そこで、先日の長谷川くんの計算が交渉に役立った。

利益が出るギリギリまで単価を下げ、その代わり、今と同じだけの利益となるように、受注数量を増やして欲しいと提案し、その条件を飲んでもらえた。


しかもこの交渉をしたのが営業部長と担当者だったようで、営業力育成セミナーの成果かなと嬉しそうに報告してくれたと、大森室長が教えてくれた。
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