この結婚には愛しかない
9時になり、経営企画室長の司会進行で臨時の役員会が始まった。

冒頭は社長の挨拶だ。挨拶や訓示は一言一句漏らさず文字に起こし、後で微調整をする。


挨拶の内容はこうだ。

今後の我が社をどうするか。社長と2人の常務が模索したところ、3人はある結論にたどり着いた。

3年前に出向で我が社に在籍していた神田さんに、新社長に就任して欲しい、力を貸してほしいとオファーするという結論に。


オファーの結果、社長では自由に動けないので、専務取締役ならばと承諾いただいた。今後は社長と専務が中心となり、我が社の未来を創っていく。そして3年を目処に現社長は退任し、神田専務が新社長に就任する。


「(神田さんが専務...社長?)」

社長の挨拶が終わり手を止めた。神田さんはずっとこっちにいてくださるということだろうか。

あんなに逢いたかった神田さんが同じ空間にいる。気を緩めると、感情の波に飲まれて泣きそうになる。
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