この結婚には愛しかない

「ヤバい店長いる」

「お客さんいないし、もう1人の店員さんはこの前途中から接客変わってくれた人だけだよ。佐和チャンスだ!」

「ムリムリムリムリ」

「...じゃあやめる?」


店舗の入口で怖じ気付く私に対して、莉央はいつものように優しくて、心配そうな表情が「無理しなくていいよ」と語る。

ほら行くよ!って強引に引っ張られる方が拒否できたかもしれない。


「行く」

だって今日がんばるって決めてたし。それにずっとカフェで莉央を待たせてたし。


「「いらっしゃいませ」」

笑顔で出迎えてくれた2人に、莉央がこんばんはと言いながら迷わずレジへ向かうので、余裕なふりをしてついて行く。


「(はーヤバいイケメン。ありがとうございます)」

沖田店長のかっこよさに感謝したくなる。心臓がヤバい。姿を見ただけでこんなにドキドキするなんて、こんなこと初めてで。


莉央にも私にも分け隔てなく笑顔を向けてくれる店長を直視できず、もう1人の、前回中村と呼ばれていた店員と莉央のやり取りを見る。


ん?

気のせいか?中村店員がそわそわしている。まるで莉央と映画に行きたいと申し出ていた時の長谷川くんのような...そういえば頬も赤らんでいるような...

チラチラ店長の顔を見て、店長が「しょうがないな」という顔をした次の瞬間。


「小泉様、この後もしお時間あれば、食事に行きませんか?」

「(え!?)」

「2人きりじゃなくて、お友だちと、店長の4人で。お願いします!」
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