この結婚には愛しかない
向川常務が大病を患い、長期離脱を余儀なくされたことにより、次期社長争いから大きく後退した。

それにより他派閥が勢力を拡大し、均衡を保っていた社内政治が大きく動いた。


俺を取り込もうと動く他派閥を無視し続け、病床の向川常務にだけ、内々に辞意を伝えた。

具体的な時期は未定だが今年度中。これは決定事項であり迷いはない。意志は硬いと。


同じ頃、来月のドイツ視察に参加したいと自ら名乗り出た。元々メンバー入りは確実だったが、参加メンバーの中に、キミの会社の社長の名前を見つけたからだ。

キミの会社の現状を探り、自分を売り込みたい思惑があった。

この社長は元ホールディングスの人間だ。子会社や関連会社の社長や重役は、役職定年後の天下りが多い。


プラン1がやっと実行段階に進めたことに気分をよくしていたその夜。

キミからのメッセージに、大いに心を乱された。


23時という、キミにしては珍しく遅い時間帯に来たメッセージを読み進めていき、思わず、ん?と声が漏れた。
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