この結婚には愛しかない



翌日からのアメリカ経由ベトナム出張の準備を終え、リビングにスーツケースを置きに行くと、バスルームから出てきた莉央と一緒になった。

この出張は本気で獲りに行きたい“攻め”なので、自然と力が入る。

アメリカの大手企業が、ベトナムに工場を作りたいので力を貸してくれないかとコンタクトを取ってきたのがきっかけだ。

ベトナムの子会社が好調なうちの実績を買っての申し出だ。この話がうまくまとまれば、コンサルとして長期的な定期収入が見込める上に、半導体製造装置も納品できる。

半導体事業部長とエンジニアリング部長、エンジニア2名の計5名、万全の体制での渡米、渡越だ。


「伊織さん、今日は一緒にお風呂入ってもいいですか?」

「もちろん!」

「やった!」

「どうしたの?莉央からお風呂に誘われるなんて初めてだよね」

「今日はどうしても伊織さんと入りたい気分なんです」

「俺は毎日でも構わないよ。ちょうど出張準備が終わったから今から入ろうか」

「はい。今お湯はりしてます」


嬉しそうに、俺の手を引いてバスルームに連れていってくれる。

俺に背中を向けて体を隠しながら服を脱ぎ(鏡に映っていたことに気づいてなくて可愛すぎた)、バスタオルをガチガチに身体に巻いて、次は風呂に誘導してくれた。
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