この結婚には愛しかない
キッチンで並んで水を飲んでいたら、莉央がおもむろにしゃがんでキッチン脇の冷凍庫を開けた。

嬉しそうに振り返り、いいものありましたと微笑む。


「身体がぽかぽかして暑いですよね。ジェラート召し上がりませんか?」

「うん。莉央?またすごい丁寧語。俺が寂しくなっちゃうよ。プライベートなのに召し上がるなんて」

「あ、すみ、ごめんなさい。ジェラート食べましょ?」

「いいね、何味?」

「ピスタチオとイチゴとミルクです」

「莉央が食べたいやつを1口ちょうだい」

「えーっと、イチゴがいいです」

スプーンを1つ取り出し、ジェラートをひとすくいして莉央の口に入れる。


「美味しい」

「(食べさせるの楽しいな)」

どんどん口に入れると、もう入らないと手で口を押さえる。


「伊織さんも食べてください」

「1口ちょうだい」

口を押えていた手が、スプーンを俺から取ろうとするからそれを掴んで阻む。


「違うよ。こっちが食べたい」

驚いた顔で俺を見上げる莉央に口づけ、味わう。


「本当だ。甘酸っぱくて美味しいね」
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