この結婚には愛しかない
莉央の鳴き声は徐々にボリュームを上げ、汗ばむほど体温が上昇し、呼吸が乱れる。

身体を何度も震わせ、俺を締め付けて離さない。


「(ああ、ヤバい)」

「伊織さん、好きっ、好き」

目尻に涙を浮かべながら、キスの合間に酸素を必死にとり入れながら言われ、愛しさが抑えきれない。


「俺も愛してるよ」

「それ、ダメッ」

快楽から逃げようとする後頭部をホールドして、逃がさない。


「ダメ、ダメ、」

「じゃあやめる?」

「やだ」

「どうして欲しい?やめる?もっと?」

「...もっと」

「可愛い、ほんと可愛い」

「伊織さん抱きしめてっ」


莉央と愛し合っていると、可愛い、愛してる、気持ちいいしか出てこなくなるんだ。

仕方ないよね?


フル充電完了まで付き合ってもらってすぐ、力尽きて眠ってしまった莉央に、俺のルームウェアを着せた。

寝溜めが出来ないのと同じで、莉央の充電も一瞬でなくなってしまう。

それでもこの充足感は、離れていても俺を満たしてくれる。

腕枕をして抱き寄せて手を繋いだ。細い指に指をからませ、2本のリングが馴染んでいる指に唇を落とした。


「明日からの出張がんばれるよ。アメリカは時差があるからメッセージを送るね。そうだ。離れていた時みたいに画像も送るね」


起きていたのか、莉央は目をつぶったまま、俺の手を握り返して微笑んだ。
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