この結婚には愛しかない
コーヒーをあっという間に飲み干した神田専務。コーヒーカップをテーブルに戻し、「これ食べていい?」と、添えたチョコを1つ手に取り、包装から中身を取り出し口に入れた。
「うま...」
「美味しいですよねこのチョコ。仕事帰りに長谷川くんとご飯行った時買ったんです。ちょっとお高いご褒美用です」
「そう...いつも仲良いね」
包装を折りたたみながら神田専務が呟いた。
「長谷川くんと毎日2人で帰ってる?食事も毎日?」
「大抵一緒に帰ります。ご飯は時々ですかね」
「俺も小泉さんと食事行きたいな」
「私も行きたいです!いつでも行けます!いつにします?ってすみません、1人で盛り上がってしまいました」
ははっといつものように笑う神田専務。もう1つのチョコに手を伸ばすと、再び体が傾き、ますます専務に体重がかかってしまう。すみません、と離れた私に。
「もたれていいのに」
そう言って、顔前にチョコを差し出され咄嗟に口を開けると、チョコを口の中に入れてくださった。
「んー!」
「ははっかわいい。美味しいね」
「(かわいい!?)」
口の中に甘さが広がる。でもそれ以上に神田専務の突然の行動、優しい表情が甘く胸にしみる。言葉にならない。