この結婚には愛しかない
ああ、神田専務はプライベートな時間を削ってでも会食に顔を出し、人脈を作られてるんだ...

何か私にできることはないだろうか。なんでもいい、何か専務の負担を減らせるような。

そんなことばかり考えてしまう。

「社長が行ってくれればいいのにって思う会食もあるんだけどね。俺に結婚勧めてくるのが社長の仕事じゃないから」

「結婚?神田さん結婚されるんですか?」


私の体にかかっていた重みが、ふ、と軽くなる。こちらを向かれた神田専務は笑顔だった。至近距離で目線が絡み直視できず目線を逸らして。

「あれ」と専務がテーブルの上の封筒を指さされた。


「見合い写真だって。俺この前断ったのにね」

「はい。結構ですとおっしゃられてました。でも...本当にその写真の方とお見合いされないんですか?」

「しないよ」

「(よかった!)」


胸を撫で下ろす隣で、神田専務が大きな欠伸をされた。目に涙が浮かび、すごく色っぽくてドキッとしてしまう。
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