この結婚には愛しかない

「俺たちの初めてのデートだったね。夜景も綺麗だった」

「(デート!?)寒かったですけどすごく綺麗でしたね」

「専務就任挨拶で牡蠣の美味しさが忘れられなかったって言ったの覚えてる?」

「はい。役員の皆さん笑ってらっしゃいましたね」

「まいったな。あれ、小泉さんに向けたメッセージだったんだけどな」


もう、目の前の神田さんの笑顔しか見えない。

好きです。神田専務。大好きなんです。


「ハグしていいですか?」

「もちろん」

この前のように、両手を広げてくださった専務の胸に飛び込んだ。

両腕に力を込める。私のこのハグは明らかにビジネスのハグの域からはみ出していることは認識している。

これは完全に佐和の言う、Loveの好きのハグだ。

そんな私のハグに対し、神田さんは優しく背中をトン、トン、とあやしてくださる。
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