あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 イーモンはぎりっと奥歯を噛みしめた。
 ――姉さんばかり。
 その気持ちがイーモンの中でどんどんと育っていく。
 父親も母親も、後継となるイーモンよりもウリヤナばかり可愛がっていた。
 だからイーモンは、両親によいところを見せたかった。その結果があのざまだ。
 ウリヤナは聖女となり、国王から多額の褒賞金をもらった。聖女になれば、褒賞金がもらえることをイーモンはこのときに知った。
 ウリヤナはなんの努力もせずに、多額の金を手に入れたのだ。ただ聖なる力があったというだけで。
「姉さんばかり……ずるい……」
 心の声を口にしてしまった。そうなれば、どんどんと育っているその気持ちが溢れ出す。
「姉さんは、今のこの国の状況をわかっていない……。姉さんだけローレムバでのうのうと生きるなんて、ずるいと思わないのですか!」
「イーモン……」
「まだこの場所はいい。だけど、王都の状況は酷いと聞いています。姉さんが、逃げ出したからじゃないんですか」
 そうだ。ウリヤナは逃げ出したのだ。
 いくらクロヴィスと婚約を解消したからといって、この国を出る必要はなかったのだ。
 神殿でおとなしく祈りを捧げていれば、この国は安穏を保てたというのに。
 友人であるコリーンが聖なる力に目覚め、彼女も聖女と呼ばれるようになった。
 なぜか、クロヴィスはウリヤナと婚約を解消して、コリーンと婚約し直した。
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