御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
彼が連れて行ってくれたのはツインタワーのお寿司屋さんだった。板前さんがひと組ごとに付いてくれ、おすすめを聞いたり、食べたいものを言うとその都度握ってくれる。合間で日本酒のつまみを何種類も作ってくれたりして、こんなお寿司の食べ方もあるのだと初めて知った。
ここから私たちのマンションまでは歩いて帰れるので運転手さんには帰ってもらった。私たちは食後の運動をかね、海を見ながら遠回りをする。
「ここでみちるに付き合ってほしいって言ったんだよな」
「そうですね」
半年くらい前の話なのになんだかもっとずっと一緒に彼を過ごしている気がする。でも季節は移り変わり、今は冬になりつつある。
「あの時は正直すごく緊張したよ。一緒に会ったのは二回くらいなのに付き合ってほしいって言うのは非常識な気がして。でもこんなにいい子だって周りが気がついたら攫われてしまうんじゃないかと思うとすぐに言いたくてたまらなかった。どうしても俺に落ちてきて欲しかったんだ」
ぎゅっと握り締めた手が熱い。
「でもなんだか余裕そうでしたよ」
「そう見せてるだけ。正直あんな外見の男に告白されて嬉しい女の子なんていないだろ? だけどこんな俺を好きになってほしいって思ったからあのままの俺で告白した」
確かに今の彼を見て好きになる人は数えきれないほどいると思う。でも正直あの時のボサボサで顔があんまり見えていない彼に告白されて了承する人は少ないだろう。私だって彼と話をして、彼の良さに気が付かなければ敬遠していたかもしれない。無言になる私の顔を覗き込んできた。
「みちるは変わってるな」
笑う彼の手をぎゅっと強く握り締めた。
「ひどい」
不貞腐れて、そう言うと彼はまた笑っていた。
「私は蒼生さんと一緒に食事をして、とても楽しかったの。だから見た目は二の次っていうか。食が合うって大事だと思うんだよね。一緒に食事をして楽しくなければ続かないって思うの」
「そうだな。俺もみちると一緒にいて本当に居心地がいいんだ。あと、みちるの匂いが好きなんだ。だから直感もあった」
ちょっと、匂いってなに? ギョッとすると彼は逃さないとばかりに手を引き寄せる。そして耳元で囁く。
「みちるの匂いってすごくいい。安心する。清潔感があるのに甘い花のような匂いがするんだ。それに引き寄せられるハチみたいに俺も引き寄せられた。みちるのフェロモンなのかもしれないな」
驚く私の顔を見てなんだか楽しそう。酔っているの? 額にキスを落とすと彼は目を細め、小さな声で幸せだなと呟いた。その言葉に私も小さく頷いた。
ここから私たちのマンションまでは歩いて帰れるので運転手さんには帰ってもらった。私たちは食後の運動をかね、海を見ながら遠回りをする。
「ここでみちるに付き合ってほしいって言ったんだよな」
「そうですね」
半年くらい前の話なのになんだかもっとずっと一緒に彼を過ごしている気がする。でも季節は移り変わり、今は冬になりつつある。
「あの時は正直すごく緊張したよ。一緒に会ったのは二回くらいなのに付き合ってほしいって言うのは非常識な気がして。でもこんなにいい子だって周りが気がついたら攫われてしまうんじゃないかと思うとすぐに言いたくてたまらなかった。どうしても俺に落ちてきて欲しかったんだ」
ぎゅっと握り締めた手が熱い。
「でもなんだか余裕そうでしたよ」
「そう見せてるだけ。正直あんな外見の男に告白されて嬉しい女の子なんていないだろ? だけどこんな俺を好きになってほしいって思ったからあのままの俺で告白した」
確かに今の彼を見て好きになる人は数えきれないほどいると思う。でも正直あの時のボサボサで顔があんまり見えていない彼に告白されて了承する人は少ないだろう。私だって彼と話をして、彼の良さに気が付かなければ敬遠していたかもしれない。無言になる私の顔を覗き込んできた。
「みちるは変わってるな」
笑う彼の手をぎゅっと強く握り締めた。
「ひどい」
不貞腐れて、そう言うと彼はまた笑っていた。
「私は蒼生さんと一緒に食事をして、とても楽しかったの。だから見た目は二の次っていうか。食が合うって大事だと思うんだよね。一緒に食事をして楽しくなければ続かないって思うの」
「そうだな。俺もみちると一緒にいて本当に居心地がいいんだ。あと、みちるの匂いが好きなんだ。だから直感もあった」
ちょっと、匂いってなに? ギョッとすると彼は逃さないとばかりに手を引き寄せる。そして耳元で囁く。
「みちるの匂いってすごくいい。安心する。清潔感があるのに甘い花のような匂いがするんだ。それに引き寄せられるハチみたいに俺も引き寄せられた。みちるのフェロモンなのかもしれないな」
驚く私の顔を見てなんだか楽しそう。酔っているの? 額にキスを落とすと彼は目を細め、小さな声で幸せだなと呟いた。その言葉に私も小さく頷いた。