【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
そして舌が侵入してくる。
コロンと口内にあめ玉が転がり込んできた音がする。
その間、わずか十数秒。
ごくっと自分の喉が鳴る。
飴玉を飲み込まずに済んだのは幸いだった。
口いっぱいに、半分溶けたはっかあめの甘さとすーすーする清涼感が広がっていく。
藍くんが綺麗に口角をあげ、色気に満ちた笑みを浮かべる。
「甘い?」
「こんなの甘すぎるよ……」
口移しのあめだと思うと、より甘い。
それはもう胸やけしてしまうくらい。
口に手を当て、わたしはもう白旗だ。