【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない




「さ、着いた」


アパートの部屋の前まで来ると、藍くんがわたしをそこにそっと下ろした。


「ありがとう、藍くん」

「全然。こんなのなんでもないから」


わたしの頭にぽんと手を置いて、くすりと微笑んでくる藍くん。

その笑顔に刺激されるようにして、胸の奥にしまっていた本音が顔を出した。

わたしはおずおずと口を開いた。


「ここまでお世話になっておいて、図々しいのはわかってる。でもあの……今夜、一緒に寝てもらえないかな」

「はあ?」


間髪入れずに呆れかえった声が返ってきた。

藍くんはため息とともに額を押さえる。


「なにを言い出すかと思えば……。お前は馬鹿か」
< 78 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop