【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
*
「さ、着いた」
アパートの部屋の前まで来ると、藍くんがわたしをそこにそっと下ろした。
「ありがとう、藍くん」
「全然。こんなのなんでもないから」
わたしの頭にぽんと手を置いて、くすりと微笑んでくる藍くん。
その笑顔に刺激されるようにして、胸の奥にしまっていた本音が顔を出した。
わたしはおずおずと口を開いた。
「ここまでお世話になっておいて、図々しいのはわかってる。でもあの……今夜、一緒に寝てもらえないかな」
「はあ?」
間髪入れずに呆れかえった声が返ってきた。
藍くんはため息とともに額を押さえる。
「なにを言い出すかと思えば……。お前は馬鹿か」