【完】クズな彼の危険すぎる偏愛から逃げられない
それからわたしたちは、並んだ布団に入る。
電気を消し、天井を見つめていると、緊張が解れていくのがわかった。
「なぁ」
静寂を破ったのは藍くんだった。
静かだからもう寝ていると思ったのに。
「なに?」
「そーいや由瑠ってなんでひとり暮らししてるんだっけ。家族は?」
オブラートに包まずストレートにぶつけられた質問に、わたしは思わず隣の横顔を見つめてしまう。
この人、デリカシーのデの字もない……!
普通女子高生がひとり暮らしをしていたら、なにか事情があるだろうと察するだろうに……!
でも、気を遣うような空気を作らないでくれたから、かえって気負わずに話すことができたのかもしれない。
重く閉ざしていた口を、静かに開いた。
「……お母さんに捨てられちゃったんだよね、わたし」
暗闇の中に、ぽつりぽつりと声を落としていく。