The previous night of the world revolution8~F.D.~
「ルレイアだったら、一撃で確実に仕留めるはずだ。窓際まで走らせることはしない。受話器を握らせる前に、初撃で殺す」

あのルレイアが、仕留め損なうことは有り得ない。

ましてや、アジーナ女史は帝国騎士官学校の前理事長ではあったものの、彼女自身は帝国騎士ではなかった。

素人が相手なら、なおさらルレイアの敵じゃない。

「仮に一撃で仕留め損なったとして、執事に電話させたなら、執事を生かしておくはずがない。証人になる人物は絶対に殺すだろう」

「それは…」

「…確かに、言えてるな」

アドルファスも、俺に同意した。

「ルレイアは『青薔薇連合会』の幹部だぞ。殺すと決めたなら、こうして俺達にバレるやり方で殺すはずがない。確実に、誰にもバレずに、闇に葬るはずだろ」

…これまで、ルレイアを苦しめた学校OBと、元教官がそうだったようにな。

彼らは完璧に闇に葬ったのに、アジーナ女史だけ失敗した?

とてもじゃないが、そうは考えられない。

それに、これまで殺したであろうOB達が闇に葬られたのは、もう何年も前の話だ。

何故今更?という思いもある。

アジーナ女史は、わざわざルレイアの手から離れて、田舎の地でひっそりと暮らしていた。

特別、何か目立つようなことはしていなかったはずだ。ルレイアの目に止まるようなことは。

更に、『青薔薇連合会』には、お抱えの暗殺組織を持っている、との噂もある。

彼らを使わず、何故ルレイアが直接、わざわざ自分の手で殺す必要があったのか。

その理由だって、納得出来ない。

「でも…そこに落ちてる香水瓶、ルレイア殿の香水と同じものなんでしょう?」

「だからと言って、ルレイアの持ち物とは限らない。あくまで市販されているものだからな。…大体、これから人を殺しに行こうというのに、わざわざ香水なんて持ち歩くか?」

「…そう言われれば…」

匂いをつけたいなら、家で吹いてくれば良いだろう。

邪魔になるものを、いちいち持ち歩くはずがない。

仮に持ち歩いていたとして、それを床に落としたなら、そのままにしてこの場を立ち去る理由がない。

わざわざ証拠を残すようなものじゃないか。
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