The previous night of the world revolution8~F.D.~
…さてと。

「…仕方ない。じゃあ行きますか…」

「ルレイア…本当に行くのか?」

ルルシーが、真剣そのものの表情で聞いてきた。

「行くって行ったんだから行くでしょう」

個人的にはオルタンスの言うことなんて、聞きたくないですけど。

でも、あれであいつ帝国騎士団の団長なんですよ。

無視するとろくなことにならない。というのは事実である。

「…そうだね。昨日起きた殺人事件…っていうのも何なのか分からないし…。ルレイアが何か疑われてるなら、身の潔白を証明する必要がある」

アイズも、冷静にそう口にした。

「昨日、国内で起きた殺人事件について、こちらでも調べを進めておくよ」

「…お願いします。アイズ」

もう少し早く呼んでくれれば、それまでにアイズに調べてもらったんですけどねぇ。

ま、良いか。どっちみち俺に責められる要素は何もない。

堂々と行きましょう。

「じゃ、皆さん。俺行ってきますね」

「ルレイア、寒くないように、あったかくしていってねっ…」

「晩飯までに帰ってこいよー」

「それじゃあ、今日の夕飯は僕が心を込めて、美味しいサムゲタン作っておきますねー」

「人生ゲーム、中断しておくから帰ってきたら続きをやろう」

シュノさん、アリューシャ、ルーチェス、ルリシヤの順で言った。

了解です。

「それじゃ、ルルシーまた後で、」

「…ちょっと待て」

え?

出かけようとした俺の腕を、ルルシーががっちりと掴んだ。

「…何ですか。この手」

「…俺が何を言いたいか、お前ならもう分かってるんじゃないのか?」

えっ。

…まぁ、大体分かってますけども。

「…まさかぁ。ルルシーだってさすがに、任意同行に同行しようなんて言い出すはずがな、」

「悪いな。その通りだ」

「…」

…やっぱり、そう来ましたか。 

「お前が何処に行こうか勝手だが、お前が行くなら俺も行くぞ」

出た。ルルシーの専売特許。

いっつもそれなんですから…。ルルシーったら…。

「…あのですねルルシー。任意聴取に呼ばれたのは俺だけであって、ルルシーは呼ばれてないんですよ?」

呼ばれてないのに行くって、どうなんです?

「何しに来た?」って言われますよ。オルタンスに。

「付き添いです」とでも言うんですか?

「それは知ってる。でも、お前を一人で行かせる理由にはならない」

きっぱり。

あらら…意志は固そうですね…。

ルルシーって頑固ですから。ここで俺が説得しようとしても、絶対退かないのは分かりきっている。

…仕方ない。これも、ちょっと変わったルルシーとのデートだと思おう。

任意聴取デートですよ。

「…分かりました。俺が折れますよ…。一緒に行きましょう」

「よし、それで良い」

全くもう。ルルシーったら強引なんですから。

でも、そんなところもしゅき。
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