The previous night of the world revolution8~F.D.~
「で、何を聞きたいんですか。俺の美肌の秘訣とか?」

「確かに…。それは気になるな。是非教えて欲しい」

「おい、オルタンス。そんなこと聞いてる場合かよ」

アドルファスから早速ツッコミが入ったが。

ほう。俺の美肌の秘訣を知りたいとは、小生意気な。

知りたいなら教えてあげましょう。

「それは勿論、日々のたゆみないお手入れですよ。シェルドニア王国から取り寄せた、特別な美肌オイルを使ってます。あの国は洗脳国家だし女王の頭も縦ロールですが、こと『白』に関するものだけは一級品ですからね」

「ほう、成程…。その美容オイルっていうのは?」

「シェルドニアスベスベシロマキガイの殻を砕いて作った、最高級のものです」

「それは是非俺も使ってみたいな」

貴様には勿体ない。水でも塗っとけ。

「あとは何より、性欲を溜めないことです。毎晩二、三人は食べるべきですね。ただし『マズい』女は駄目ですよ。ちゃんと『美味しい』女をつまみ食いするべきです」

「そうなのか。勉強になるな」

「…何言ってるんだ?お前らは…」

は?世界一有益な会話だったろう?

俺の言った通りにすれば、俺のようなスベスベ美肌も夢じゃないですよ。

「そんなこと聞く為に呼んだんじゃないだろ。さっさと本題に入れ」

「そうか…。ルレイアともっと楽しい雑談をしたかったんだがな…」

俺は楽しくないから、さっさと肝心なことを言え。

「…昨夜、起きた殺人事件のことを知ってるか?」

はぁ?

「…あなた、昨日俺の香水店で、何人の客が来たのか知ってます?」

「いや、知らない」

そう。実は俺も知らない。

売り上げは知ってるけど。

「それと同じですよ。自分の管轄外のことを、毎日把握してるはずがないでしょうが」

「…貴殿なら知ってるかと思ったんだがな」

「あっそ」

でも、俺は知りませんね。

ついでに興味もありません。

「なら説明するが、昨日未明、サイネリア家の別荘で殺人事件が起きた」

と、オルタンスが説明した。

…サイネリア家、だと?

その名前は、俺も聞き覚えがあった。
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