The previous night of the world revolution8~F.D.~
人生ゲームは、とても楽しかった。

全員ゴールするまで、ちゃんとやったんですよ。

俺は一着でゴールして、大活躍のヒーロー人生でした。

人生ゲームが終わった後、日も暮れてきたので、ルルシーの部屋に集まっていた幹部組は、それぞれ帰っていった。

俺だけが、ルルシーの部屋に残っていた。

「いやー、楽しかったですね。ルルシー」

「そうか…?そりゃ、お前は楽しかっただろうよ…。億万長者だったし…」

ルルシーは冴えないお返事である。

俺がヒーローとして活躍する一方、ルルシーはかなり悲惨な人生だった。

フリーターとして生活していたが、途中、詐欺師に壺を買わされて莫大な借金を負う。

生涯一度も結婚することなく、薄給の中ひたすら借金を返し続ける人生だった。

おまけに、死ぬまで借金なくならなかった。

総資産マイナスでゴール。

「でも、アリューシャより借金は少なかったでしょう?」

「まぁ…そりゃそうだけど…」

プータローで天下を取ると豪語していたアリューシャは、宣言通り天下を取ってましたよ。

ただし、借金王としての天下ですけど。

全ての選択肢が裏目に出てしまったアリューシャは、目玉が飛び出るほどの借金を背負ったが。

それでも、本人はよく分かってないのか、それとも生来のポジティブな性格故か。

「プータローで天下取ったぜ!」とガッツポーズしながら、笑顔のゴール。

例えどんな結果でも、笑ってゴール出来るのは素晴らしいことです。

「他の皆さんも、頑張ってましたね」

「あぁ…。特に、ルーチェスのルリシヤな…」

ルーチェスは一国の王様として、左団扇の生活。

たくさんの子供に恵まれて、人間として最高の幸せを謳歌していた。

ルリシヤはマジシャンとして大成功し、何人もの弟子を持つほどに成長。

結婚してないので子供はいないけど、大きな家を買って、それが資産となっていた。

アイズはベンチャー企業の社長として、生涯を通じて莫大な資産を稼いだ。

大きく増えはしないけど、決して減りはしないという堅実プレイが、実にアイズらしかった。

シュノさんは、一時投資に失敗して借金を背負い、若干危ない時もあったが。

最終的には何とか持ち直し、資産は少なかったが借金を背負うことはなかった。

いやぁ。それぞれの個性がよく現れていて、実に面白かったですね。

「本当、楽しかったですね。ルルシー」

「あぁ…。次こそは、俺もフリーターじゃなくて…ルレイアみたいに、ヒーローとかになろう」

それはルーレット運次第なので、何とも言えませんね。

逆に俺は、今度はフリーターとか、アリューシャみたいなプータロー人生も楽しいかもしれない。

「…次の機会があれば、の話ですけど」

「…え?」

もしかしたら、そんな機会はもう二度とないかもしれない。

俺は、こたつから出てすっと立ち上がった。

…最後に皆で楽しく遊べたから、俺はもうそれで充分です。

多分、もう思い残すことは何もありません。
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