The previous night of the world revolution8~F.D.~
夜食なんて食べないと言いながら、自分はちゃっかりショートケーキを買ってきてるんですから。

しかも、2個入り。

分かりますよ。深夜に食べるケーキって、禁断の味がして美味しいですもんね。

病みつきになりますよ。

「セカイさん…。素直になりましょう。ショートケーキ…食べたかったんですよね?」

「ぎくぎくっ…!そ、そんなことないよ。それは別に…その…私が食べるつもりだったんじゃなくて…」

…ほう?

素直じゃないとは、可愛いですね。

からかい甲斐があるというものですよ。

「そうですか。僕の為に買ってきてくれたんですか?」

「そ…そうだよ。そうそう。それはルーチェス君の為にとおもっ、」

「じゃあ僕が食べますね。…2個共」

「ひうっ…!」

…効いてる効いてる。効果抜群ですよ。

「ケーキ、ありがとうございます。いやぁ生クリームたっぷりで、いちごも乗ってて美味しそうですねー」

「ふ、ふぇぇ…」

僕はわざと、セカイさんの前でわざとらしくケーキを取り出し。

パックを外して、付属のフォークを手に取った。

「しかも、二つも!なんて贅沢なんでしょう。ほら見てください。ふわっふわのスポンジケーキの間に、いちごがたっぷりと…」

「ふにゃぁぁ…」

「きっと最高に美味しいに違いないですよ。でも、セカイさんは食べないんですよね。だって夜食なんか食べたら太っちゃいますもんね」

「ふ、ふぇぇぇ…」

「じゃあ、セカイお姉ちゃんの分も僕が美味しくいただくとしましょうか。一緒に食べられないなんて残念、」

「る…ルーチェス君の意地悪〜っ!!」

ペシペシペシ、とセカイさんに背中を叩かれた。

ふふふ。

好きな子には悪戯したくなる年頃なんですよ。

「…一緒に食べます?」

「食べるよーっ!1個ちょうだい!」

半泣きで陥落するセカイお姉ちゃん。

いやぁ、最高に可愛いですね。

勿論、素直なセカイさんには、ショートケーキをあげますよ。

「何なら2つ食べても良いですよ。僕は別のもの食べるので」

「やだよ。2つも食べたら本当に太っちゃうもん。ルーチェス君と1個ずつにする」

「そうですか」

僕は、セカイさんが太っちゃっても大好きですけどね。

でも、1個分けてくれると言うなら、素直に好意に甘えておくとしましょう。

夜中のケーキ。禁断の味ですが。

二人で食べれば、罪悪感も薄れるというものでしょう。

「折角ですから、紅茶でも淹れてきますね」

「やったー。ルーチェス君大好き!」

ありがとうございます。僕も大好きですよ。
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