The previous night of the world revolution8~F.D.~
仕事部屋に戻ってから。

「…ふーむ…」

僕は、ファイルに並んだ名簿を一つ一つ確認しては、ボールペンで斜線を引いていった。

…この人もハズレ。

じゃあ次の人。

名簿の名前をデータベースで検索すると、性別、出身地、居住地、学歴から家族歴まで、ぜーんぶ出てくる。

勿論、このデータベースは一般人には閲覧出来ない。

何なら、帝国騎士団や帝国自警団ですら、簡単には見ることは叶わない。

アイズ総長だって、気楽には閲覧出来ないんですよ。

そんな極秘情報を、どうして僕が容易く閲覧しているのか。

それは、僕が元皇太子であるからだ。

ベルガモット王家の人間のみが持つ特別な閲覧権限を使って、調べさせてもらった。

無論、今の僕は皇太子ではないので、本来、僕にこの権限を使うことはもう出来ない。

だが、バレなければ問題ない。

ということで、アイズ総長に頼まれて、こうして一つ一つ調べている訳だ。

…帝国自警団の団員、一人一人の素性を。

サイネリア家の当主を殺害し、ルレイア師匠に冤罪を着せたのは、帝国自警団の団員だ。

ルレイア師匠が、帝国自警団に保護されていた時。

そのことを新聞社にタレコミしたのは、帝国自警団の内側にいる人物に違いない。という着眼点から。

それなら、帝国自警団のメンバー全員を調べれば良い。となった。

そこで、僕の出番である。

元皇太子権限を(不法に)使用し、帝国自警団のメンバー全員の名簿を入手。

その名簿をもとに、一人一人の頭上を調べているところだ。

この中で、最も出自が怪しく、ルレイア師匠と関わりのある人物をピックアップすれば。

それが、すなわちサイネリア家当主を殺害した、真犯人という訳だ。

帝国自警団の団員は非常に多く、一人一人を調べるのは非常に骨の折れる作業である。

しかし、こうしている今も、ルレイア師匠とルルシーさんは、国外に亡命しているのだ。

彼らが無事に、ルティス帝国に凱旋するその時まで。

「…待っててくださいね。必ず、真犯人を突き止めますから」







ルレイア師匠がシェルドニア王国を出て、無事、箱庭帝国に亡命したという連絡が入ったのは、その翌日だった。





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