The previous night of the world revolution8~F.D.~
…ふっ。食べましたね?

「もぐもぐ…。…うん、美味い」

「美味しいですか?」

「ん?あぁ…。美味いけど」

成程。そうですか。

「俺のも齧ってみます?」

「え。ルレイアのは種類、違うのか?」

「えぇ。こっちも美味しいと思いますよ。どうぞ食べてみてください」

「あぁ、ありがとう」
 
俺が自分の串を差し出すと、ルルシーは何の躊躇いもなく、もぐっ、と齧った。

…ふっ。こっちも食べましたね?

「それにしても、これ何の魚なんだ?白身の、淡白な味だけど…。タラとか?タイとか?」

「残念ながら違います。ルルシーが今食べてるお魚は、ナマズです」

「…えっ。な、ナマズ?」

ルルシーは、ぽかんとして固まった。

いやぁ、良い反応してくれますねぇ。

「そして、今さっき摘まみ食いした俺の方は、コイです」

「こ、コイ…?それ…ニシキゴイとか…ノゴイとかのコイ…?」

「そう、そのコイです」

川に泳いでるアレです。

「…えっ…。う…海の魚じゃないのか?」

「違いますよ。箱庭帝国は、海が荒れているので海の魚はほとんど獲れないんです」

だから、この国で魚と言えば、大抵が川に住んでる淡水魚なんですよ。

さっき言ったナマズとか、コイとか、あとはフナとかね。

「えっ。えっ…。く、食えるの?ナマズって…」

ルティス帝国じゃ、川魚はあまり食べませんね。

海の魚に比べて生臭い、泥臭いと思われがちですが…。

「海外では、割とポピュラーなお魚なんですよ」

特にナマズは、高級魚とされている国もあるくらい。

「お前…分かってて食べさせただろ?」

ぎくっ。

「…そんなことする訳ないじゃないですか。俺はいつだってルルシーに誠意を持って対応してますよ」

「…おい。こっちを見て言えよ」

…いやん。

「もー、ルルシーったら。そんなこと気にしなくても。美味しいんだから良いじゃないですか」

「そ、そりゃあ美味いけど…。…正直、もっと生臭いと思ってたよ」

とのこと。

ルティス帝国民だったら、大抵はそう言うでしょうね。

「箱庭帝国は良くも悪くもド田舎なので。ルティス帝国よりも河川が綺麗なんですよ」

「あ、成程…。それで、全然生臭くないんだ…」

まるで俺の心のように、澄んだ美しい川に住んでいるお魚なので、こんなに美味しいんですね。

「まぁ、ナマズくらいなら可愛いもんだよ…。…シェルドニア王国の…深海魚や熱帯魚みたいな気持ち悪い魚に比べたら…」

…ルルシー。達観してますね。

「…何なら、イナゴの塩焼きも食べてみます?」

「いや…それはさすがに…やめとく」

そうですか。

じゃ、イナゴは勘弁しておいてあげますよ。
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