The previous night of the world revolution8~F.D.~
「…ルレイア」

「はい」

いつになく低い声ですね。

その声も素敵で惚れそうですが、口に出すと怒られるので言いません。

我慢、我慢。

「良いか。…俺は、今怒ってる」

「はい」

それは見たら分かります。

怒ってる顔も素敵で惚れそうですが、口に出すと(ry。

「俺の聞き間違いだったら良いんだけどな。まさか、本気でカミーリア家の女と結婚するつもりじゃないよな?」

はい、と言いたかったんですけどね。

「残念ですが、聞き間違いではありません」

「…」

ルルシーの眉が吊り上がってる。

「…それだけならまだしも、さっき、ウィスタリア家に戻る、とか言ってたな?」

「えぇ、言いましたね」

「『青薔薇連合会』を卒業する、とも」

「はい。言いました」

「…本気で言ってるのか?」

あまりに恐ろしい剣幕で睨んでくるものだから、思わず「済みません、嘘です」と言いそうになりますが。

ルルシーがここで退けないように、俺も退く訳にはいかないんですよ。

「えぇ、本気で言ってるつもりです」

「…」 

時が止まったように沈黙するルルシー。

…。

「…この際、お前が『青薔薇連合会』を出ていくのは別に構わない」

え、構わないんですか?

「その時は、俺も一緒に『青薔薇連合会』から出ていけば良いだけだ。どの組織に所属するかが問題なんじゃない…」

「なら、何に怒ってるんですか?」

「お前がウィスタリア家に戻る、なんてふざけたことを言うからだ」

あぁ、成程。そっちですか。

ルルシーがマジギレしている本当の理由は、それであるらしい。

「…戻ってどうするつもりだ?何で今更、あんなところに…」

「…」

「お前を傷つけるだけで、散々苦しめるだけで、お前が本当に救いを求めてる時に、ほんの少しも手を差し伸べてやらなかった…。そんな奴らのところに戻って、どうするつもりなんだよ?」

「…」

「あんな薄情な連中のもとに…。あいつらは、お前が苦しんでる時に何もしてくれないぞ。それどころか、また利用されるだけだ。またお前を苦しめるだけだ」

「…」

「俺は…俺は、お前がまた苦しんでるところを見たくない。そんなことは耐えられない。自分の身が切り刻まれるのは怖くない。でも、お前がまた苦しむ姿を見ることだけは耐えられない…!」

…分かってますよ。ルルシー。

そんな苦しそうな顔で言わなくても。

俺だって、ルルシーと同じ気持ちですから。

自分が苦しむのはどうでも良いけど、ルルシーが苦しむのは耐えられない。

だから。

「…そんな苦しそうな顔をしないでください。俺も辛くなるじゃないですか」

「それはっ…。だって、お前がふざけたことを…」

「ふざけてるつもりはないんですけどね。『青薔薇連合会』の名誉を守る為には、こうするのが一番なんです。…ルルシーだって分かってるでしょう?」

「そんなこと…!お前が苦しまずに済むなら、『青薔薇連合会』なんてどうなっても良い」

聞きました?今の。

これが『青薔薇連合会』幹部の台詞ですよ。
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