社内捜査は秘密と恋の二人三脚

「そのために俺がいるというわけだ」

 偉そうに……ボサボサ頭のヨレヨレスーツのくせして。何なのよ。部長に向き直った。

「とりあえず、協力します。見てしまったし、聞いてしまいました。事実を目の前にして部長の言うことが嘘とは思えません」

「さすがだね。ありがとう。北村さんなら信用できるから話してるんだよ。とにかく、専務には黙っていて欲しいんだ。二人が見たり聞いたりした話が本当なら、僕が書類上気付いたことは残念ながら間違いなかったって事になるんだよね……」

「わかりました」

 隣の鈴木さんをじっと見た。黒縁眼鏡の奥でニヤリと笑いながら腕組みして壁に身体をつけたまま私を見ている。

「それで、こちらの鈴木さんの本当の任務は内密ということですよね?」

 部長がうなずいた。鈴木さんが言う。

「そう、その通り。僕は最初に部長が説明した通りの人間として偽装して明日から入る」

「説明した通りの人間って……偽装って……」
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