でこぼこ
今この人に何を言っても傷つけるだけだと思ったから。
「唯一の救いはあいつの妹がこのコートを渡してくれた。
小さい頃から知ってたのにいつのまにか身長も何もかも追い抜かされてた。
サイズが大きくて最初は違和感あっ たけど今は馴染んでいる。
これを着てる時は1人じゃないって思う。
でも、私は、こんなに、弱いんだ。」
「笑美さんは弱くない。」
「弱いよ。」
「弱い人間がそんな辛い過去を背負う事は出来ない。俺はそう思う。」
「颯斗...。」
小さい声で力無く颯斗、颯斗と何度も何度も呟く。
泣きながら声を震わせてその人の事しか考えていないかの様だ。
もう我慢できない。
俺は思わず笑美さんを抱き寄せた。
俺にできる事はこれくらいだから。
「俺の胸貸します。泣きたい時は泣いていい。
我慢なんてしないでくれ。俺が半分背負うから。」
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