電話越しで副社長に恋をしました。

懇親会はあらかじめ予約してある札幌駅近くの居酒屋だ。
私は端の席についていた。
皆さんへお酌をして、お酒がなくなれば注文をする。気を使うし、バタバタと忙しいので会社の懇親会はあまり好きではない。
「どうぞ」
副社長にお酌をすると、間近で目が合う。綺麗な瞳に見つめられると、顔が熱くなり、どこに視線を向けたらいいかわからない。
「湯元さんは、お酒は大丈夫ですか?」
「……は、はい」
「無理して呑むことはないですからね。そんなに緊張しないでください。湯元さんもあまり気を使わないでくださいね」
下っ端社員の私にも優しい言葉をかけてくれる。まだ若いのに副社長は余裕があって素敵すぎた。
二時間ほどして懇親会はお開きになり、居酒屋を出て挨拶を交わす。
「副社長、お疲れ様でした」
「今日はありがとうございました」
二次会を提案した所長だったが、副社長は明日の朝の飛行機で東京に戻るのでと、やんわりとお断りしていた。
もう、なかなか会う機会はないだろうが、とても素敵な人だったなと少し切ない気持ちになる。
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