電話越しで副社長に恋をしました。
『今日も元気ですね。今一人ですよね。困ったことはありませんか?』
「は、はい」
役職者は社内ウェブの予定表に入れる権限がある。なので、今私が一人だということがわかったのだろう。
『所長に頼まれてたと思うんですけど、お願いしていたデータがあります。そちらをメールで送っていただけますか?』
「了解しました」
仕事の指示はわかりやすいし、テキパキ説明してくれる。きっと同じ職場で働いたら素敵な調子なんだろうなと想像してしまう。
『湯元明菜さんは、いつも明るいですね』
「……え?」
私のフルネームを知っていたことに驚いた。あ、それも調べればわかるか。
『仕事は楽しいですか?』
「少しずつ慣れてきましたけど、一人で留守番しているのは寂しい時もあります」
『そうですか。北海道支部が合併されるということで、一年間新入社員の中で優秀な方を配属しようという話になってお願いすることとなりました。寂しい思いをさせて申し訳ないです』
「いえいえ、副社長が悪いわけではありませんので、お気になさらずに……。皆さん良い方で楽しいですし、良い経験になりそうなので」
『前向きでいいですね。来週あたりに札幌に行きます。もしよければ札幌の美味しいお店をいくつか教えていただけますか? お客様向けのWebページに北海道の情報を充実させたいと思っていました。いい企画になったら企画部にも話して旅行のプランとして販売することも考えております』
大きな仕事なので緊張してしまったが、自分にできることを考えてみよう。
「わかりました」
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