最強退鬼師の寵愛花嫁
「え……これ……」
そこには黒い石。この形は――
「勾玉、なんだけど、まあお守りだ。出来るだけ持ち歩きやすいように小さいものにしたから、外に出るときは必ず持っていてほしい」
手のひらにころんと乗る大きさで、真っ黒。
アクセサリーのトップにも出来そうなサイズだ。
その黒には吸い込まれてしまいそうな深さがある。
「こ、こんな綺麗なものをわたしが持っていていいのですか……?」
琴理が驚きと恐縮から言えば、
「琴理のためのお守りだ。本当はもっと早くに渡しておくべきだったんだけど……。琴理が誤解しないように言っておくけど、俺が琴理のことすっげえ大事だから渡すものだから。琴理のためだけに作ったものだからな」
明後日の方を向いて、後半になるにつれて早口で言い切った心護は、「先に行ってる」と言ってさっさと行ってしまった。
心護の背中を、目を丸くして見送った琴理は、すぐ後ろに涙子が控えているのを思い出して急に恥ずかしくなった。
「ようございましたね、琴理様」
涙子が、にこ、というよりはにやにやした顔で言って来るので、恥ずかしさが増すしかない。
「は、はい……」
琴理は黒い勾玉の形のお守りをまじまじと見つめる。
「……綺麗、です……」
「そうですね……私も種類まではわかりませんが……あ、公一さまならわかるかもしれません。公一さまは博識でいらっしゃいますから」
「これはオニキスですね。天然石ですよ」
「オニキス……」
「ええ。魔よけの石ですね。トラブルから身を守ると言われています。……詩から聞きましたが、淋里様に備えて、ではないでしょうか」
公一が、一段と声を低めて言った。
「心護様は琴理様にお守りをお持ちいただきたくて、色々探しておいででした」
「そうなんですね……大事にします、絶対」
「そうしてくださると心護様は泣いて喜びます。それと、オニキスにはほかにも色々と意味があるんですが、その中に―――――」
「………、!」
公一から聞かされた言葉に、琴理の頭は一度爆発した。