愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
「ううん。今の生活のままでいいのかなって、自分が不安になってしまって」

 本音をまた隠してしまったが、私たち間では同じ思いになれたはず。

「……そうか」

 彼女とのことは、私の胸の内にとどめておく。

「小春には、今のままでいてほしい」

「うん」

 ようやく笑みを浮かべた私に、千隼さんが素早く口づける。
 すっかり油断していたのもあり、じわじわと頬が熱くなった。

 彼が帰国してすぐに、初めて肌を重ねた。それ以降も、求めに応じて何度か体をつなげている。

 親密な関係になったというのに、それでも明るい中での接触は恥ずかしくて、彼の方を見られなくなった。

 ふわりと抱きしめられて、全身が熱くなる。そのまま髪に口づけられるのを、抵抗なく受け入れた。

「小春」

 甘く強請るような声に、ふるりと体が震えた。
 これは千隼さんがベッドへ誘うときの合図だとわかっている。

 彼の胸もとでコクリとうなずくと、瞬時に抱き上げられて寝室へ運ばれた。
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