愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
さっきの自分の発言が問題視されれば、千隼さんに迷惑になるレベルの話ではない。ようやくそう思い至り、さっと血の気が引いていく。
「今頃気づいたって、遅いのよ」
恐怖で指先が冷たくなる。
「あなたの失敗は、そのまま先輩の落ち度だと見なされるのよ。千隼先輩にとって迷惑にしかならないなんて、とんだ悪妻ね。すぐにでも別れて、彼を私に返し……」
「なにをしている」
山科さんに一方的に攻められていたそのとき、割り込んできた声にハッとして、うつむきかけていた顔を上げる。
やってきたのは、千隼さんだった。
「山科が小春を連れ出したと、見かけた櫛田を教えてくれたが」
心配そうに私を見つめた彼は、それから山科さんへ厳しい視線を向けた。
「体調が悪いとか、そんな理由ではないのだろう。これは、どういうことか。山科、説明をしてくれ」
そう言いながら彼女に場所を開けさせた千隼さんは、私の腕を引いて自身の半歩後ろに隠した。
視線を泳がせた山科さんは、それから覚悟を決めたように千隼さんに向き直る。
「小春さんは、あなたにふさわしくありません」
あらためて言われた言葉に、唇を噛みしめる。
「外交官であるあなたの妻となっても、家庭を守ることすらしない。少しばかり言葉の勉強をした程度で、王女殿下に意見までしたんですよ。後でどんな問題になるか」
千隼さんが、私の方を振り返る。
「なにか、あったのか?」
あくまで彼は心配そうにしているだけで、疑ったり非難したりする様子はない。
「そ、その、考えを聞かせてほしいと言われたので、思ったことを言っただけで……」
たしかに私の考えを伝えはしたものの、決して高圧的な態度をとった覚えはなくて、小さく首を左右に振った。
そんな私に、彼は大丈夫だとでもいうように小さくうなずいた。
それでも安心はできず、握り込んだ手の内側が汗ばんでくる。
「今頃気づいたって、遅いのよ」
恐怖で指先が冷たくなる。
「あなたの失敗は、そのまま先輩の落ち度だと見なされるのよ。千隼先輩にとって迷惑にしかならないなんて、とんだ悪妻ね。すぐにでも別れて、彼を私に返し……」
「なにをしている」
山科さんに一方的に攻められていたそのとき、割り込んできた声にハッとして、うつむきかけていた顔を上げる。
やってきたのは、千隼さんだった。
「山科が小春を連れ出したと、見かけた櫛田を教えてくれたが」
心配そうに私を見つめた彼は、それから山科さんへ厳しい視線を向けた。
「体調が悪いとか、そんな理由ではないのだろう。これは、どういうことか。山科、説明をしてくれ」
そう言いながら彼女に場所を開けさせた千隼さんは、私の腕を引いて自身の半歩後ろに隠した。
視線を泳がせた山科さんは、それから覚悟を決めたように千隼さんに向き直る。
「小春さんは、あなたにふさわしくありません」
あらためて言われた言葉に、唇を噛みしめる。
「外交官であるあなたの妻となっても、家庭を守ることすらしない。少しばかり言葉の勉強をした程度で、王女殿下に意見までしたんですよ。後でどんな問題になるか」
千隼さんが、私の方を振り返る。
「なにか、あったのか?」
あくまで彼は心配そうにしているだけで、疑ったり非難したりする様子はない。
「そ、その、考えを聞かせてほしいと言われたので、思ったことを言っただけで……」
たしかに私の考えを伝えはしたものの、決して高圧的な態度をとった覚えはなくて、小さく首を左右に振った。
そんな私に、彼は大丈夫だとでもいうように小さくうなずいた。
それでも安心はできず、握り込んだ手の内側が汗ばんでくる。