愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
「王女殿下への発言はともかく、家庭のことまで山科に口出しされるいわれはない」

 きっぱりと拒絶を示されても、山科さんは怯まない。

「私だったら、千隼先輩を全力で支えられるわ。あなたが仕事を辞めて家に入ってくれと言うのならすぐにそうするし、どこの必ず国へもついていく。親より先輩を優先する。絶対に、あなたの足手まといにならい」

 だんだん感情的になる山科さんを前にしても、千隼さんは表情をいっさい変えなかった。

「どうしてその人なんですか!」

 彼女の心からの叫びに耐えきれず、ビクリと体が揺れる。

「山科家なら、あなたの後ろ盾にだってなれる。父だって千隼先輩を歓迎して、見合いの話を持ち掛けたというのに」

「後ろ盾に、父親の歓迎。それが俺の結婚に、なんの関係があると?」

「え?」

 あくまで冷静な姿勢を崩さない千隼さんに、山科さんが勢いを失う。

「そんなもの、俺は求めていない。それに、妻となる女性には家庭に入ってほしいなど、まったく望まない」

「そ、そんな」

「時代錯誤も甚だしい」

 自分が家庭に入っていない申し訳なさから負い目に感じていたが、千隼さんから家にいてほしいと強要されたなど一度としてない。
 彼はいつだって私の希望を優先してくれてきたというのに、山科さんに揺さぶられて千隼さんは本心を明かしていなかったのかと思い込んでいた。
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