愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
「ちょっと甘すぎて、その、もしかして私を好きなのかと、勘違いしそうになるくらいで」

 さすがに自分でそれを言うのはいたたまれないが、伝えずにはいられない。

 不意打ちで、再び口づけられる。
 恥ずかしすぎるという抗議の視線を向けたが、彼は私と目が合っただけでうれしくてたまらないというように蕩けた笑みを向けてきた。

「結婚したからと、すぐに体の関係を迫るようなことをしたくなかった。小春とは、時間をかけて深く知り合っていきたいと考えていたんだ」

「その配慮は、初心者にはありがたかったです」

「とはいえ、帰国後に耐えきれずに迫ってしまったが」

「そ、それは……」

 ストレートに言わないでほしい。
 真っ赤になっているだろう私を、千隼さんはおかしそうに笑った。

「小春が不足して限界だったんだ。許してくれ」

 まったく悪びれていないのは、その意地悪な笑みでバレバレだ。

 言いかけた言葉をごまかそうと身じろいだが、そうはさせないというように、私の体に回された彼の腕に力がこもる。

「で、それは、なんだ? 小春」

 なんだか立場が完全に逆転したようだ。逃げ場がないと感じるのは、きっと気のせいではないはず。
 胸もとに抱き寄せられて、物理的にも逃れられなくなる。

「そ、その、私も嫌じゃ、なかったし」

 下を向く隙間さえ与えられず、たまらず彼の胸もと顔を押し当てた。
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