愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
* * *

「なあ、小春。父さんはかまわないんだぞ」

「しつこいよ」

「だって、親子じゃないか」

 休日の今日、話があるからとお互いの両親を食事に誘った。
 義母の都合がつかなかったのは残念だが、近いうちに会いましょうと言ってもらえている。

 食事中は和やかな雰囲気だったが、今は少し険悪になってしまった。
 隣に座っている千隼さんは、私を落ち着かせようとテーブルの下で手を握ってくれた。が、しつこい父に辟易して、私の口調は厳しくなる。

「そもそも、お父さんは戦力にならないじゃない。先週、久しぶりに実家に顔を出したら、洗濯の山がすごかったわ」

 相変わらず父はルーズで、見たからには放っておけないとつい手を貸してしまった。

「と、父さんだっているし」

「高齢のおじいちゃんを、こき使おうって言うの?」

 言葉に詰まる父に、ジト目を向けた。

「これはもう、決定事項なの! 誰がなんと言おうと、私の意志は変わりません」

「でもね、小春ちゃん。正樹が心配するのも無理は……」

 遠慮がちに割り込んできた義父を、チラリと見る。
 睨みつけたわけでもないのに、義父の表情が引きつった。

「正樹さんも父さんも、そこまでにしてください。これは、俺たち夫婦で決めたことなんです」

 小春も落ち着いてと言われて、小さく息を吐き出した。

「医師も、その時期なら飛行機に乗っても問題ないと言っています」

「むしろ、身軽なうちにそうすべきだと思うの」

 幾分か口調を和らげて、それでも言うべきことは主張しておく。
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