愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 話を終えて帰宅すると、千隼さんに義母から連絡が入る。
 なにを話しているかは不明だが、雰囲気は悪くないようだ。

 リビングで待っていると、電話を終えた千隼さんもやってきた。

「母さんが、ベビー服はどこのブランドがいいかって。気が早いよな」

 ブランド名を聞くあたりが、なんとも義母らしい。

「でも、気にしてもらえてありがたいわ」

 苦笑する千隼さんの腕を、ぽんぽんと叩く。

 私の感覚では、それほど長く着られないものに高いお金をかけるのはもったいないと考えてしまう。
 ただ義母の好意を踏みにじりたくはなくて、素直に受け取ろうと決めている。

「この子が生まれたら、父さんたちは大騒ぎしそうだ。

 まだペタンこの下腹部を、千隼さんがそっとなでる。

「元気に生まれて来いよ」

 優しく言い聞かせる千隼さんに、そっと頭を持たれかけた。

「楽しみだね」

「ああ」

 日本を飛び立つとき、父はまた号泣するのだろう。
 そして、「本当に向こうで出産するのか」とぶり返すに違いない。

 その横で、義父がちょっと意地悪に千隼さんをからかう姿も想像できてしまう。

 ふたりは相変わらずなんだろうなあと、小さく笑った私の肩を千隼さんがぐっと抱き寄せた。



 END
< 154 / 154 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:242

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
小川 雪乃(おがわ ゆきの) × 東坂 雅樹(とうさか まさき) 理不尽な理由で職場を追われて、都心を逃げ出した雪乃 身を寄せた祖母の住む北海道で再会したのは、高校の先輩で航空自衛官になった雅樹だった 「君が理不尽に苦しめられてきたことを聞いたら、なんだかほっとけない気がした」 高校生だったあの頃、先輩は私のひと言が背中を押してくれたと恩に感じているようで…… 今度は自分が助けるときだと、彼が提案したのは契約結婚だった 先輩、私たちは契約結婚……でしたよね? 日に日に甘さを増す旦那様に、いろいろと限界です!? ***素敵なレビューをありがとうございます*** 鮭ムニエル 様
表紙を見る 表紙を閉じる
こちらの作品は、ベリーズ文庫2026年1月刊として刊行予定です。 修正前のものになりますので、書籍版とは内容が大きく異なる箇所があります。 書籍版では番外編も加わる予定ですので、そちらもお楽しみいただければと思います。 川島 悠里(かわしま ゆうり) 町工場の社長令嬢 × 柴崎 拓真(しばさき たくま) パイロット・大手航空会社の次期社長 父親をきっかけに知り合った男性に、だんだん惹かれて、恋をして。 けれど、情熱的な一夜を過ごした直後に彼の長期海外出張が決まり、 しばらく連絡を取るのも難しくなる。 その間に父は病に倒れ、 叔父に会社を乗っ取られてしまう。 横領の疑惑をかけられて、会社を追われて失意のどん底にいた中、 さらに妊娠が判明して…… 素敵なレビューをありがとうございます! 鮭ムニエル 様
俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
  • 書籍化作品
Yabe/著

総文字数/82,608

恋愛(純愛)110ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
来栖 真由香(くるす まゆか) 航空管制官 × 椎名 翔(しいな かける) パイロット 今は恋愛よりも、航空管制官の仕事をがんばりたい。 その気持ちに嘘はないけれど…… 癒しは必要!! 「好みの声に、耳もとで〝愛してる〟なんてささやかれたら、それだけで疲れも吹き飛んじゃいそう」 いつものカフェで、同僚と〝理想の声〟について熱く語る。 好みドンピシャの声を尋ねられて…… 「椎名さんの声で、四六時中愛をささやかれてみたい。そうしたら私……」 「好きなんだ、俺の声」 まさか、本人に聞かれているなんて思わなかった。 「それなら、ちょうどいい。俺と結婚してくれないか?」 そうして彼に持ち掛けられたのは、偽装結婚だった。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop