愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 それから、広場をゆっくりと見て回った。
 この辺りの様子を写真で見たとはいえ、実際に目にすると迫力が違う。中世ヨーロッパの世界を彷彿とさせるこの雰囲気はとにかく素敵で、目にするものすべてに興奮を隠せない。

 建物内を見学できる施設もあり、今回は『王の家』へ行ってみた。

 王の家とは言っても、ここに実際に王が住んでいた事実はない。十五世紀にブラバント公の行政庁が置かれ、後に公がスペイン王になったためこう呼ばれている。と、千隼さんがわかりやすく教えてくれた。

「すごい! 千隼さんは、なんでも知ってるのね」

 手放しで称賛する私に、彼は苦笑した。

「小春を喜ばせたくて、いろいろ勉強したんだよ」

 さりげないひと言に私が浮かれていると、千隼さんは気づいているだろうか。
 それからも彼は、私の抱いた疑問に淀みなく答えてくれた。

 楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。
 すっかり歩き疲れてしまい、この日は近くのレストランで食事を済ませて帰宅した。
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