愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 次は、休憩も兼ねて甘いものを食べに行こうと千隼さんが誘ってくれる。

 ブリュッセルには、ワッフルの有名店がたくさんある。今日は、千隼さんが同僚に薦められたという店に連れて行ってくれた。

 一階がテイクアウトの専門店になっており、ショーウィンドウに並べられたカラフルにトッピングされたワッフルが目を惹く。
 どれも美味しそうで、ひとつに決められるだろうかとつい欲張りな心配してしまう。

 私たちは、二階のカフェテリアへ上がった。
 甘いものも大丈夫な千隼さんは、ワッフル生地にブラウンシュガーをトッピングする。
 散々迷った私は、チョコレートソースが贅沢にかけられたものを選んだ。

「甘い!」

「だろうな。見ているだけでわかるよ」

 私の手もとを見ながら、千隼さんが苦笑する。
 見た目通りの濃厚な甘さに、疲れが癒される。

「ほら、お口直しだ」

 笑いながら私を見ていた千隼さんが、自分の頼んだものをひと口差し出してきた。
 いわゆる「あーん」という状態が気恥ずかしかったが、それでもスイーツの誘惑に抗えるはずがない。素直に従うと、すぐさま口の中に入れられた。

「こっちも美味しい! お返しにどうぞ」

 同じように私も差し出すと、千隼さんは驚いた顔をしつつも食べてくれた。

 私たちはすでに夫婦だけれど、結婚までが早かったのもあって実感は薄いのかもしれない。
 お互いに食べさせ合う恋人らしい振る舞いが無性にうれしくて、にやけそうになる。

 それから、ワッフルを楽しみながら他愛もない話をしていた。
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