愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 千隼さんの出勤を見送り、午前中に買い物に出かけた。
 その道中で撮影した写真と共に近況をメールで知らせようと、帰宅後に早速パソコンを立ち上げる。

「おじいちゃん?」

 父と祖父には、心配をかけないように定期的に連絡をしている。もちろん義父にも、同じようにしていた。

 父はパソコンを使い慣れているが、祖父は得意でない。そのため返信はいつも父からばかりで、初めて祖父から届いたメールに首をひねる。

 祖父は頑固な人だけど、新しいものを拒否するような性格ではない。もしかして、これをきっかけに祖父もパソコンに挑戦してみたのかもしれないと、軽い気持ちで開封した。

【――心配はいらないが、一応知らせておく。先日……】

「え?」

 けれど、こちらを気遣う言葉の後には不穏な単語が続き、眉を潜める。無意識のうちに、爪が食い込むほど手を固く握っていた。

「事故!?」

 思わず立ち上がり、声を上げていた。
 祖父によれば、父は外出先で事故に遭い、大腿骨を骨折したのだという。

【部位が悪かっただけに、全快するまでに少し時間がかかりそうだ】

 無意識に、自分の太ももに触れる。
 私に骨折した経験はないものの、想像だけでも痛ましくてぶるりと体が震えた。

【黙っているのもどうかと思って知らせたが、こちらのことは心配しなくてもいい。小春は千隼君とがんばるんだぞ】

 後に、義父からもそれを知らせるメールが届いた。
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