愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 どうすればいいのか、答えが見つからない。
 家事も手につかず、ひとりで悶々と悩んでいるうちに千隼さんが帰宅した。

「小春。父さんから連絡がきたが、正樹(まさき)さんが事故に遭ったって?」

 千隼さんにもすでに話がいっていたようだ。彼が知っていてくれたというだけで、自分の中でぴんと張り詰めていたものが決壊する。

「そうなの」

 気が緩み、ジワリと涙が滲む。
 不安が隠しきれない私を、千隼さんが優しく抱きしめてくれた。

「幸い命に別状はないと聞いているが、小春としても言葉だけでは安心できないよな」

 彼の胸もとで、こくりとうなずく。

 千隼さんへの遠慮もあって、「様子見に行きたい」と簡単には言えない。一度帰ってしまえば、父らを放っておけなくなってしまうに違いない。

 新婚早々に私の実家の都合で離れ離れになるなんて、妻としては失格ではないか。
 彼を支えると決めてベルギーまでついてきたというのに、私はまだなんのも役にも立てていない。

「どうしていいのか、わからないの」

 判断がつかず、苦しくて仕方がない。

 温かな手が、動揺する私の背をなでる。そうされているうちに、次第に落ち着きを取り戻していった。

 ひとまず千隼さんに食事をとってもらい、話をするためにリビングへ移動する。
 ソファーに隣り合って座ったが、なんとなく彼の方を見られなくてうつむいた。
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