愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
「小春。難しく考えなくていいんだよ」
背に手を添えられて、ビクリと体が強張る。
けれど、そこから伝わる温もりに、少しずつ力が抜けていく。
観念して顔を上げると、千隼さんは困ったような顔で私を見ていた。
「きっと、俺の存在が小春を迷わせているんだろうな」
それでは、なんだか千隼さんが悪いように聞こえてしまう。そうじゃないと、慌てて首を振って否定した。
「私……命に別状はないって言われても、どうしても心配で。お父さんのことはもちろんだけど、おじいちゃんへの負担だとか紅葉亭をどうするのかとか」
「小春が心配になるのも当然だ。ケガ以外は問題ないかもしれないが、しばらくは身動きが取れない入院生活を強いられている。病院に任せておけばいいとは言っても、そのための手続きをしたり着替えを届けたりと、雑事はあるから放ってはおけない」
私の懸念を、千隼さんが代弁してくれる。
その通りだとうなずく私を見て、彼が問いかけてきた。
「小春はどうしたい?」
「私……」
どう言うべきか迷い、視線が揺れる。
「俺については、ひとまず考えなくていい。小春の本音を聞かせてくれないか」
ここまで言ってくれる彼の言葉に勇気づけられて、ゆっくりと口を開いた。
「お父さんたちを、放ってはおけない。お店だって、休業が長引けば閉店の可能性も出てくるだろうし」
紅葉亭が無くなってしまう未来を直視できなくて、瞼を閉じてぎゅっと手を握りしめる。
ぽんぽんと頭に手を添えられて、自分が呼吸すら止めていたことに気づく。小さく息を吐き出して、心情を吐露した。
背に手を添えられて、ビクリと体が強張る。
けれど、そこから伝わる温もりに、少しずつ力が抜けていく。
観念して顔を上げると、千隼さんは困ったような顔で私を見ていた。
「きっと、俺の存在が小春を迷わせているんだろうな」
それでは、なんだか千隼さんが悪いように聞こえてしまう。そうじゃないと、慌てて首を振って否定した。
「私……命に別状はないって言われても、どうしても心配で。お父さんのことはもちろんだけど、おじいちゃんへの負担だとか紅葉亭をどうするのかとか」
「小春が心配になるのも当然だ。ケガ以外は問題ないかもしれないが、しばらくは身動きが取れない入院生活を強いられている。病院に任せておけばいいとは言っても、そのための手続きをしたり着替えを届けたりと、雑事はあるから放ってはおけない」
私の懸念を、千隼さんが代弁してくれる。
その通りだとうなずく私を見て、彼が問いかけてきた。
「小春はどうしたい?」
「私……」
どう言うべきか迷い、視線が揺れる。
「俺については、ひとまず考えなくていい。小春の本音を聞かせてくれないか」
ここまで言ってくれる彼の言葉に勇気づけられて、ゆっくりと口を開いた。
「お父さんたちを、放ってはおけない。お店だって、休業が長引けば閉店の可能性も出てくるだろうし」
紅葉亭が無くなってしまう未来を直視できなくて、瞼を閉じてぎゅっと手を握りしめる。
ぽんぽんと頭に手を添えられて、自分が呼吸すら止めていたことに気づく。小さく息を吐き出して、心情を吐露した。