愛を秘めた外交官とのお見合い婚は甘くて熱くて焦れったい
 前身の力が貫抜けて、気怠さに包まれながら呆然とする。
 その間に彼は、体を起こして服を脱ぎ捨てていった。

 再び戻ってきた千隼さんと視線が絡む。

「小春」

 焦がれるように呼ばれて、小さくうなずき返した。

 再び覆いかぶさり、私の様子を伺いながらゆっくりと腰を沈めてく。
 かたくなにシーツを握りしめている私に気づいた彼は、優しく解いて自身の首もとに添えさせた。

「つっ……」

 初めての痛みに、瞼をきつく閉じて唇を噛みしめる。思わず爪をたててしまったけれど、気にする余裕はない。

 全身を強張らせる私を宥めるように、優しく口づけられる。つられて目を開ければ、額に汗を浮かべた千隼さんが、申し訳なさそうな顔をした。

「すまない。少しだけ我慢して」

 うなずき返す前に、深く口づけられる。
 私が彼のキスにすっかり虜になっているのは、もうお見通しなのだろう。痛みは頭の片隅に追いやられて、必死に舌を絡ませた。

「はあ」

 艶めく吐息をこぼした千隼さんが、私を優しく抱きしめた。
 ふたりの間には少しの隙間もなく、お互いの腰が密着する。ようやく彼とひとつになれたのだと、幸福感に包まれた。

「愛してる」

 耳もとでささやかれて、小さく体を震わせる。

 私との結婚を望んでくれたくらいだから、もともとなんらかの好意を持っていたのだろうと信じていた。

 離れている間も、彼は『会いたい』『寂しい』と繰り返し伝えてくれた。
 けれど〝愛している〟と言われたのは、これが初めてだ。

 感極まって、涙が溢れだす。不安はすべて吹き飛んで、ただ愛しさだけがあふれ出した。

「私も、千隼さんを愛してる」

 自分も同じ気持ちでいるのだと知ってほしくて、震える声で必死に返した。
 私を抱き込む彼の腕に、さらに力こもる。触れる素肌が心地よく、目を閉じて彼の温もりを全身で感じた。
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