Hush night

助手席でゴホンと咳払いが聞こえてそちらを見ると、弾さんが気まずそうな表情を浮かべていた。


車内の密閉空間でふたりだけの世界に入ってしまっていたわたしたちは、きっと見るに堪えないものだったのだろう。



「なあ弾、邪魔」



それなのに、麗日は弾さんに失礼なことを言ってのける。

案の定、弾さんは呆れたように口を開いた。


「麗日も、森さんと俺の気持ち考えろよな」

「見て見ぬふりしてたらいーじゃん」


「あのなあ……もーいいわ」


森さんとは、運転手さんの名前らしい。

呆れ返ってしまった弾さんは諦めたように前を向く。

その瞬間に麗日はわたしにくっついてくるのだから、抜かりない人だ。



「うるも弾のこと邪魔だと思うよな? 俺とふたりきりがいいよな?」


「う、うー……ん」


返答に困る。


「ほら、うるも邪魔って言ってるぞ。弾」

「都合よく解釈するなって……」

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