Hush night
麗日が先に入ってこいと言ってくれたため、ひとりでお風呂場へと向かう。
彼の住処はどこもかしこも綺麗に掃除されており、几帳面さが垣間見えた気がした。
麗日の服を脱ぐと、わたしの肌に残る少し痛々しさが減った傷が姿を現す。
この傷を見るたび、あの“環境”を思い出す。
あの男の声が、顔が、消えない汚れのようにこびりついて離れない。
麗日に守られていると安心しても、心の奥底では不安がいつまでも付き纏う。
怖くて仕方ない。
逃げるという選択肢は、わたしの思考からは1ミリもない。
シャワーを浴びると、いままで、彼に出会うまでは我慢していた痛みを感じすぎて、泣いてしまった。
ずっとここに居られたら。
ずっと麗日と暖かいこの部屋で過ごせたら。
そう思えば思うほど、わたしの心の扉は深く深く閉じていく。