宿り木カフェ


『そろそろ時間だね』

気がつけば9時半まであともう少し。
スタッフとの都合が合えば一時間というのも出来るが、それは事前予約が必要だ。

もう少し話したい。

いや、もっと話したい。

30分なんてあっという間だ。



「また次の予約入れるね」

『うん、さっき日程を更新したからサイトを確認してね』

「じゃぁ、お休みなさい、お父さん」

『あぁ、ゆっくりお休み、由香』

画面に通話終了の文字が出る。



通話が終わる時はいつもこうやりとりをする。

父にお休みを言った記憶も、言われた記憶もない私には、こうやっておままごとをするだけでも嬉しかった。


私は『宿り木カフェ』のスタッフ一覧からヒロさんのページを出し、日程をチェックする。


「もうそんなに残りの回数無いし、一週間後かな」

私は予約ボタンを押した後、表示された残り回数を見てため息をついた。


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