宿り木カフェ

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「渡辺さん、今度の会社のイベント、参加で良いのよね?」

仕事中、お局さんが私のデスクにやってくると、にこにこと話しかけてきた。

「すみません、その日は休みを頂いていて不参加なんです」

そう私が答えると、あからさまに不愉快そうな顔をした。

「え?不参加?
せっかく社内の交流を円満にしようという部長からの提案なのに不参加なの?」

知っていますよ、人を集められなかったら貴女の評価が落ちるから、それを怯えて必至に人を集めていることくらい。

そんな気持ちを押し殺し、私は静かに答える。

「その日は墓参りなんです」

「あら、どなたの?」

そんなこと聞かないで、そうなの、とか言ってやめておけば良いのに。

でも、答えたら彼女がどんな反応をするのだろうか。
私は答えを返してみることにした。

「母と姉の、です」

「あ、あら・・・・・・」


わかりやすいほどに、お局の顔が困惑の色を浮かべている。


「で、でも、お父様がいるんでしょう?」

「父は私の物心付く前に離婚したのでいませんし、どこにいるのかも知りません」

お局の表情が凍り付いている。
私はただ淡々と話した。
もしかしたら睨んでいたのか、それとも笑みでも浮かべていたのか。

そんなことまで、この人に気を使う必要も無いと思っていた。


「そうそう、次の人に確認取らないといけないから!
お仕事邪魔してごめんなさい!」

そう一気にまくしたてると、お局様は足早に立ち去った。


いい気味だ。
これで少しは自分の考えが浅はかだと思い知ればいい。
私は彼女がこれで少しは良い方向に変わるのではと、淡い期待を持っていた。


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