姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
 姉に対する私の思いはかなり複雑だ。

 雅貴さんを傷つけて最低だと罵れるほど善良ではないし、姉のおかげで私が雅貴さんと結婚できたと感謝するほど無神経でもない。

 せめて姉には生涯禎人さんと幸せでいてほしい。

 笑顔で去っていくふたりを見つめながら、そう願った。

 
 ゲストのお見送りを終えて私服に着替えると、私と雅貴さんはここの高級ホテルに一泊するために高層階のスイートルームに向かった。

 広くて豪華なリビングで、バトラーが淹れてくれたフレーバーティーを飲み、ほっと一息つく。

 現在は退院し自宅療養中の雅貴さんのおじいさまも、今日は特別に許可を得て結婚式に列席してくれた。

 私たちの結婚を心から喜ぶ姿に、雅貴さんもうれしそうにしていた。

 両家の祖父が婚姻届の証人欄にサインをしてくれたので、明日新居に行く前に提出する予定だ。

 お世話になったウエディングプランナーさんが荷物をまとめて届けてくれたりしているうちに夜になった。

 バトラーにルームサービスのメニューをどうするか聞かれたので、私は軽食をお願いした。

 結婚披露宴ではほとんど食べられなかったのに、おなかが空いていない。雅貴さんと結婚できて胸がいっぱいだからだろう。

 すぐにダイニングには食事が並べられる。

 雅貴さんと向かい合って席に着き、シャンパンで乾杯した。金色の泡がグラスの中でシュワシュワと弾ける。

 「そういえば、雅貴さんは毎日こういうごはんを食べているのですか?」

 
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