姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「え……?」

 これはどういうことだろう。さすがに私の出で立ちが目に入っていないはずはない。

 途端に不安になってきた。

 もしかして、結婚は形だけのつもりで、初夜などと考えてきたのは私だけ? 

 でもそれなら『俺の新妻』だなんて言わないのではないだろうか。

 私の体を見てみたら、あまりの色気のなさにまったくそそられなかったという説がじわじわと濃厚になってくる。

 胸もおしりも特別大きくはないし、色香は放つべくもない。おまけに男性経験もゼロときている。
 
 ベッドの上に座り、絶望に打ちひしがれていると、バスルームから雅貴さんが出てきた。視界の端で彼がバスローブ姿だというのは確認できたけれど、目を合わせられない。

 少しずつ彼が近づくたびに、かぐわしい匂いが漂ってくる。

「百花ちゃん、朝も早かったし疲れただろ」

「全然疲れてませんっ」

 食い気味に答えた。

 ベッドの縁に腰を下ろした雅貴さんが、私の顔を覗き込む。

「意外とタフなんだな。そんなに華奢なのに」

 華奢と言われ、頬がかあっと熱くなった。思わず自分の腕で胸もとを覆う。急激に羞恥心が襲いかかってきた。

「百花ちゃん?」

「……もう百花ちゃんって呼ばないでください。子ども扱いしないで」

 雅貴さんが面食らっているような気配を感じた。いつまでもそう呼ばれるのを気にしていたとは思ってもみなかったのだろう。


  
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