姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
打ち上げ花火は十分以上も続く。夜空に咲く花も、地上に咲く花と同じくらいきれいだった。
「雅貴さん……」
自分を抑えられなくなった私は、プライベートバルコニーで彼に歩み寄る。
「ん?」
こちらに顔を向けた彼の腕をぎゅっと掴んだ。
そうして背伸びして、彼に口づけようとする。
「あっ……」
長身の彼の唇にはわずかに届かず、うまくキスができなかった。
すると私がなにをしようとしているのか気づいた彼が身を屈めてくれたので、もう一度自分から顔を近づける。
「んっ……」
今度はきちんと唇が触れ合い、体温が一気に上がった。ついに雅貴さんと初めてキスができた。
「……私、今夜は震えていないし、涙ぐんでもいません。まだだめですか……?」
「だめってなんのこと?」
問い返す雅貴さんは悪戯っぽく微笑んでいた。その瞳の奥には好奇心のようなものが垣間見える。
「とぼけないでください。結婚して一カ月が過ぎました。それなのにまだおでこにキスしかしてくれないなんて……」
彼の右手を自分の胸に押し当てた。普段の自分からは考えられない行動だ。
彼は虚を衝かれたような表情をする。
「百花?」
「雅貴さんとしたいです」
彼はぐっと眉根を寄せて、束の間口を噤む。
「雅貴さん?」
「雅貴さん……」
自分を抑えられなくなった私は、プライベートバルコニーで彼に歩み寄る。
「ん?」
こちらに顔を向けた彼の腕をぎゅっと掴んだ。
そうして背伸びして、彼に口づけようとする。
「あっ……」
長身の彼の唇にはわずかに届かず、うまくキスができなかった。
すると私がなにをしようとしているのか気づいた彼が身を屈めてくれたので、もう一度自分から顔を近づける。
「んっ……」
今度はきちんと唇が触れ合い、体温が一気に上がった。ついに雅貴さんと初めてキスができた。
「……私、今夜は震えていないし、涙ぐんでもいません。まだだめですか……?」
「だめってなんのこと?」
問い返す雅貴さんは悪戯っぽく微笑んでいた。その瞳の奥には好奇心のようなものが垣間見える。
「とぼけないでください。結婚して一カ月が過ぎました。それなのにまだおでこにキスしかしてくれないなんて……」
彼の右手を自分の胸に押し当てた。普段の自分からは考えられない行動だ。
彼は虚を衝かれたような表情をする。
「百花?」
「雅貴さんとしたいです」
彼はぐっと眉根を寄せて、束の間口を噤む。
「雅貴さん?」