姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
「えっ、そうだったんですか」

「凛花は昔から雅貴さんと結婚するつもりはなかったから、わざわざ俺に話しておく必要はないと思っていたんだって」

 どうやら姉は禎人さんと付き合う前から、雅貴さんとの縁談は断るつもりだったようだ。

「それは……驚きましたよね」

「かなり。しかも年明けに、いきなり凛花のおじいさまと対峙してって言われてさ」

 禎人さんが初めて実家にやって来た日のことが頭をよぎった。今さらながらあのときの禎人さんの心境を思うといたたまれない。

「実はほとんど記憶がないんだよ。ただただ必死だったことだけ覚えてる」

「姉が禎人さんを振り回してしまい、本当に申し訳ありません」

「いやいや、凛花の勢いのおかげで助けられたところも大きいんだ。正直、許嫁の存在に怯みそうになっていたし、あの日がなかったら結婚できなかったと思う」

 たしかに許嫁がいると聞いたら尻込みしてしまうかもしれない。しかもそれが久宝総合病院の御曹司ならなおさらだ。

「実際に百花ちゃんの結婚式で雅貴さんに初めて会って、凛花が彼より俺を選んだのが信じられなかったよ。雅貴さんはめちゃくちゃイケメンだし、背が高くてスタイルもいい。おまけに高学歴でお医者さん、大病院の次期院長でお金持ち。さらには人柄もよくて、並べ出すときりがないくらいハイスペックでさ。凛花はおじいさまに反発したい一心で俺を選んだのかもしれないね」

 禎人さんは少し寂しそうにつぶやいた。

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